老後を見すえた家づくりでは、〝生活の負担をいかに少なくするか〟がカギ。部屋数や動線、バリアフリーなどのアイデアを織り込んだプランニングが大切です。
区画整理で建て替えに
元々は、自分たちの代で建て替えをしなくてもいいと考えていました。築60年以上、焼き板の外壁のいわゆる伝統的な日本家屋でしたが、区画整理のため、建て替えを余儀なくされたんです。どこの建築会社に依頼をするかを考えていたときに、ちょうど娘の友達が家を建てていて、手掛けていたのがおかやま住宅工房さんでした。気になったのでホームページで調べてみると焼き板の家がお得意だったようで、施工例もたくさんありました。もともと焼き板の家が好みで、修繕のたびに壁を塗りなおすのは嫌だけど焼き板なら30~40年はもつので、新しい家も焼き板を貼りたいと思っていました。そしておかやま住宅工房さんに実際に話を聞いてみて、考え方にも納得し家づくりを依頼することにしました。それからはだいたい月に1回開かれる施工例の見学会に行き、イメージを膨らませていきました。よく見に行くものですから、スタッフの方からも「皆勤賞ですね」と言われたりしましたね。
コンパクトで使いやすい家に
家づくりでまずお願いしたポイントは、年寄夫婦が住むのだから平屋で必要最低限の部屋があればいいということ。これからの生活で段差があると不便なのでバリアフリーであること。また、前の家が断熱材がなく寒かったので、しっかりとした断熱性能があること。そして、何より使い勝手の良さは必須。これらの要望を伝えてプランを作っていただき、それを元に要望や修正を加えていきました。特にこだわったのが水回り関係の動線。最初のプランでは回遊性のない動線だったので、通路を介してリビングや寝室からキッチン、洗面所、浴室へと回遊できるプランに変更してもらいました。そのほか、大容量の太陽光発電パネルを載せるために、〝片流れ〟の屋根にしてもらったことなど、要望はすべて伝えてそれを実現できるよう一緒に考えてもらいました。
落ち着いたたたずまいで和やかに暮らす
完成したわが家は、広々としたリビングダイニングを中心に、寝室や和室、予備室、水回りなどを両横に配した造りになっています。リビングダイニングは無垢のスギを貼っている勾配天井が開放的で、無垢のサクラを使った床は柔らかで心地良く、自然素材に包まれた安心感があります。これらは経年変化でさらに味わいのある色になるそうなので、それも楽しみ。天井近くの小窓から反対側の掃き出し窓に向かって風が吹き抜けるので、夏場は窓を開けておくと、とても涼しいのです。ふと見上げた時、飛行機が飛んでいるのが見えるのも新鮮ですね。ゆっくり和やかにくつろいでいます。
こだわった動線は、キッチンとリビング、寝室、風呂場をスムーズに行き来できるので実に便利です。リビングからは見えないようになっている風呂場前の通路に収納棚をたっぷり設けているので、実用性を確保しながら生活感が出ていません。
もちろん、本焼き杉の板壁と白壁を組み合わせた平屋の外観も気に入っています。本格的に和の要素を取り入れていますが、どことなくすっきりしていてモダンな感じがするところがいいですね。